イタリア人とウンコの話、まさかのpart3です。
自分でもこんなに長くなるとは思っていませんでした。もうウンコブログでいいです。
ここまで「cacare」の話を長々としてきました。「cacare」の面白い使い方から、かなりマイナスの意味を持つ低俗な使い方まで紹介しました。さて、最後に(今度こそ最後です)、「cacare」という動詞の南北差について書いてみたいと思います。
イタリア語は、地方ごとの方言の差がすごいことで有名です。特に北と南では、イタリア語がだいぶ異なるという話は皆さんも聞いたことがあるかもしれません。どれだけ違うかというと、例えばシチリア方言は、語彙も文法体系も全く異なった別の語であると言われるくらい違います。
さて本題の「cacare」ですが、もう一つ言い方があって、それが「cagare」です。二音節目の子音が、[c]なのか[g]なのかという些細な違いです。辞書(Treccani)によると、北が「cagare」となっていますので、北イタリア出身者はcagareを使うというところでしょう。ただ、北と南といってもイタリアは縦に長いですから、どのへんからが[c]でどのへんからが[g]なのかが気になりますよね。
ということで、私の友人のFくんが、わざわざアンケートをとってくれました。彼は友達が多いのでとてもいいデータがとれたそうです。彼によると、シチリア出身者は「cacare」を使い、それ以外は「cagare」を使う、とのことでした。このデータがもし正しいとすると、辞書(Treccani)では第一表記が「cacare」になっていますから、シチリア人の大勝利ということになります(?)。
まあ、信じるか信じないかはあなた次第、的なところもありますが、「cacare」というちょっとフォーマルな場面では口に出しにくい言葉から見えてくるイタリア語の特性があるというのはとても興味深いですよね。ウンコブログとしては方言区画論*1ならぬウンコ区画論を確立したいものです。
ということでちょっと書きすぎましたが、このへんでイタリア人とウンコの話は終わりにします*2。
追伸
やっぱり書き足りなくてウンコに関する追加記事をひねり出しちゃいました。