私の友人Fくんは、生粋のインテリスタ(イタリアのサッカーチーム、インテルナツィオナーレのファンのこと)です。
彼はインテル永遠のカピターノ(キャプテン)、ハビエル・サネッティが大好きです。
カピターノの本、読みますか? マジ感動しますよ。
私は、サッカーにあまり興味がないので、お誘いを受けるたびに、「いいえ、結構です」と断固お断りさせてもらっています。
また、Fくんは、生粋のイタリアバカでもあります。どれくらいイタリアバカかというと、毎食、ピザ、パスタ、ジェラートのヘビロテを組んでいるくらいです。
朝食がピザ、昼食がパスタ、夕食がジェラートです。
最近、Fくんは太ってきたかもしれません。
そして、Fくんは、イタリアが好き過ぎるあまり、日本ディスも忘れません。
日本人は第二の人生というものを認めない傾向がある。一度の失敗をあげつらうな!
ほう。
日本は無意識の差別が多すぎる。もっと多文化共生に目を向けろ!
なるほど、深みがあることを言うじゃないですか。
ほうれん草のおひたしとはなんだ!野菜はオリーブオイルと塩で食べろ!
はい?
バルサミコ酢も欠かせないぞ!お前ら日本人の舌はどうなってんだ!
おまえの頭はどうなってんだ。
とまあ、インテリスタでイタリアバカなFくんですが、今回イタリアがW杯に出られないことに、大変意気消沈しています。イタリアがW杯出場を逃すのは、なんと60年ぶり。1おじさんくらいの時が経っています。
イタリアのいないW杯なんて、生地のないピザだよぉ...パンのないパニーノだよぉ...
と意味不明なことをうわ言のように繰り返すくらい意気消沈していました。
こないだ、そんな傷心中のFに連れられて、上野のジェラテリーア(アイスクリーム屋)に行ってきました。
彼によると、ここがまあ美味しいらしく、何がいいかというと、
・毎日手作りで作り置きをしない。
・味が濃厚
・値段が安い
とのことでした。
私も期待に胸を膨らませて一緒に行ってきました。それが、ここです↓
ジェラテリア マンマミア | 湯島白梅商店会 - 公式ホームページ -
「ジェラテリア マンマミア」、日本語にすると、「アイスクリーム屋なんてこったパンナコッタ」。
Fくんはイタリアバカなので、やめとけばいいのに、店長さんにW杯の話題をふりました。サッカーバカ熱狂的なファンが多いイタリアのことなので、店長さんもさぞかし悲しみに打ちひしがれていると思いきや、彼の口から出てきたことばは意外なものでした。
È meglio così(エ メッリョ コジィ; これでいいんだ)
この返答はFくんには意外だったらしく、その先を食い入るように聞いていました。
イタリアではサッカーが生活の中心に据えられてしまっている。
もしイタリアがワールドカップに出場し、あまつさえ勝ち進んでしまったらワールドカップ中のニュースはどの局もサッカー一色になってしまうだろう。
国内では税金や政治など様々な問題が山積みなのに、人々はイタリア代表の試合結果にしか興味を示さなくなってしまう。
人生にはサッカーより大切な事が多くあるので、これを機に国が直面している問題をそれぞれしっかりと考えてほしい。
さすがのイタリアバカでインテリスタのFくんも、これには神妙な面持ちでした。
イタリア人にとってサッカーは重要な存在で、文化として生活に根付いています。日本でも野球の広島カープによる広島県内での経済効果が年間約350億円と言われていますが、イタリアで はサッカーが経済だけではなく政治や人々の生活にまで影響を及ぼします。
当然多くのイタリア人は自分たちがワールドカップに出場できないことを悲しんでいるとは思いますが、ジェラート屋の店長さんのようにこれをチャンスだととらえる人もいるのはとても新鮮でした。
さて、話を一通り聞いたFくんは、神妙な面持ちで、
インテルの試合が始まっちゃうんで、先帰りますね。
と私を置いて先に帰っていきました。
それは、神妙な面持ちで言うセリフではないぞ、と言いたかったのですが、そんなこと言っても彼の耳にはきっと届かなかったでしょう。
このあたりで、私はこの記事で言いたいことがよくわからなくなりました。
たぶん、その、アレです。アレアレ。
なんてこったパンナコッタ
じゃないな。
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