ジョジョの第5部には、ナランチャ・ギルガというキャラクターがいる。お勉強は苦手なのだが、仲間想いで、いざというときに最高の活躍をするキャラだ。
そんな彼にも、ジョジョ特有の「スタンド」という特殊能力がある。どんなスタンド能力かというと、ラジコン戦闘機のようなものを出して、そこから敵を滅多打ちするという、遠隔操作も可能な優れ能力だ。
そんな彼のスタンド能力を知らない方は、YouTubeから動画をお借りしてきたので、ぜひ以下の動画を一回見てほしい。彼が自由自在にラジコンを操っていることが分かると思う。
さて、そんな彼は、ここぞというときに、敵を滅多打ちにするととともに、こう叫ぶ。
ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ、ボラーレ・ヴィーア!
そして、ボラーレ・ヴィーアにはカッコづきで「飛んで行きな」と書いてある。
これはイタリア語の、ボラーレはvolare(飛ぶ)とヴィーアはvia(向こうへ)の二つの言葉を組み合わせたもので、「飛んで行く」という意味になる。ジョジョの第五部はイタリアが舞台なので、登場人物たちもイタリア語を使う、ということである。
しかし、このナランチャの言い方には、大変な違和感がある。
「ボラーレ・ヴィーア」は、確かに「飛んで行く」という意味だ。だが、その日本語訳から分かるように、ナランチャは、ここでは「飛んで行け」と相手に言いたいのだと思われる。
滅多打ち滅多打ち滅多打ち、からの、「飛んで行け」である。
すると、イタリア語でも命令形にしなければならないはずだから、ここは、vola via(ボーラ・ヴィーア)、とならなければおかしい。
ボラーレ・ヴィーアは、まあ、無理やり訳すのであれば、「飛んで行く」。どう考えてもこの場面にはそぐわない。
ボラボラボラボラボラボラボラボラ、飛んでいく!
うん、ちょっと違う。
だから、ナランチャには、今からでも、
ボラボラボラボラボラボラボラボラ、ボーラ・ヴィーア!
と言ってほしい。ボラーレ・ヴィーアからボーラ・ヴィーアへ。
たったこれだけで、私は十分満足できる。
しかし、聡明な方であれば既に気づいたと思う。
ボラーレ・ヴィーアの命令形が、ボーラ・ヴィーアなら、ボラボラボラボラの部分もおかしいのではないか、と。
そう、おかしい。イタリア人は、決して「ボラ」なんて言わない。「ボーラ」と言う。
だから、正確には、ナランチャはこう言わなければならない。
ボーラボーラボーラボーラボーラボーラボーラ、ボーラビーア(飛んで行け)!
これで完璧。
なんか間抜けだと思うかもしれないが、ナランチャが「ボーラ・ヴィーア(飛んで行け)」と言いたいのだから仕方がない。
ボーラボーラボーラで相手を滅多打ちにしてもらうしかない。
想像してほしい。
敵を滅多打ちにするときに、ボーラボーラボーラというナランチャを。
🤣
イタリア語という武器を手に、ジョジョのナランチャにマウントをとり、悦に浸った私は、今、最高に調子をこいている。
そして、最高に調子こいた私は、イタリア人の友人に、「ナランチャの必殺技の言い方のおかしいところを直してやったんだ!」と嬉々として語ったのです。
すると、
「うーん、でも、まずそういうときに「ボラーレ・ヴィーア」って言わない(笑)」
と返されました。
反論できない相手に自分の得意分野でマウントをとって悦に浸った私は最高にピエロです。
本当にありがとうございました。
追伸
ちなみに、同僚のブチャラティも必殺技の言い方がおかしいです。その点については、随分前に記事にしました。
彼の仲間で5部の主人公、ジョルノに必殺技を提言しました。
5部登場人物の名前の意味について
ディ・モールトについて考察しました