私はイタリア語が大好きです。
そして唐突ですが、私はグミも大好きです。高校1年生のときに、「あ、自分はグミが好きなんだな」と自覚しました。嘘みたいですがしっかり覚えています。
それからというもの、「好きな食べ物は?」という使い古された超古典的問答に対しては、「カレー」とか「とんかつ」という主食系のもので答えずに、「グミです」という想像の斜め上を超えていくあさっての返事をするようになりました。
さて、皆さんはグミ業界が熾烈であることをご存知でしょうか。年間、数十に及ぶ新しいグミが店頭に並んでは、そのほとんどが定着することなく消えていきます。私はこれまで、ポイフル、サワーズ、果汁グミ、シゲキックス、ハリボー、ジュレピュレ...数え切れないほどのグミを堪能してきました。あぁん、もうおいしいっ...♥
グミ好きを公言してはばからない私は、ある日、コンビニへと出向いたときに以下のグミを見つけてしまいました。みなさんもきっとご存知のあの「フェットチーネ」です。
私は、威風堂々と什器の真ん中に鎮座する「フェットチーネ」に圧倒されました。
フェットチーネ...?このグミを見つけた時、私の思考が停止し、世界の動きがゆっくりになるのを感じました。
フェットチーネ。あまりにも言いにくく、唐突すぎるネーミングに、私はそこに確固たる意味を見いだせず、混乱状態に陥り、衝撃の余り、いやそんなことはないと思い返したように、人間の底すらない悪意を感じ取ってきてこられたとしたらどうするの、ああ、すみません、自分でも言ってることがわからなくなってきました。そして唐突にすみませんが、今私はファイナルファンタジー7のリメイクで遊びたい。すごくやりたい。
話を戻します。フェットチーネです。混乱から覚めた私はもう一度、なめるようにその名前を睨みつけました。フェットチーネなんてふざけた名前のグミがあるわけない。
しかし、そこにはやはりまごうことなく「フェットチーネ」と書いてあるのです。
それ、パスタじゃね? 私はこう思ったのです。
それ、パスタじゃね? 大事なことなのでもう一度言ってみるのです。
フェットチーネはグミではないです。パスタの一種です。
私はグミのくせに自らをフェットチーネと名乗る住所不定無職自称フェットチーネ(44)を手にとりました。
あんた、パスタじゃないよね?そう問いかける私に、彼は黙秘を決め込んでおりました。
黙秘を続ける容疑者に冷静さを失ったグミ警察の私は、容疑者を裏返し、パッケージからグミの情報をつまびらかにしたのです。するとそこには、「フェットチーネはパスタの一種です。このグミはパスタのフェットチーネに形が似ていることからこのような名前がつけられました」と書いてあるではないですか。
グミのくせに、フェットチーネ。
イタリア語警察からすれば、フェットチーネは、fettuccineなので、正確に発音すると「フェットゥッチーネ」です。[u]と[cc]の発音をきちんとやってもらいたい。
しかし、そんなことは最早どうでもいいのです。私はグミ好きでイタリア語好きです。このグミを味わって、イタリアとグミに思いを馳せられればそれで良いのです。
幾多のグミを食してきたグミ好きそしてイタリア語好きの私が、専門的な観点からこのグミの味について言わせてもらうなら、このグミは超おいしい。めっちゃおいしい♥
いうなれば、美味しさを超えた美味しさ。ビヨンドディスクリプション。そしてこれで100円という破格の値段。まさにグミ界のセフィロス。
皆さんは、映画「ファイナルファンタジーVIIアドベントチルドレン」を見たことがありますか。この映画の終盤、FF7最強の敵セフィロスが主人公クラウドと対峙します。
そこで「クラウド、お前の最も大切なものは?それを奪う喜びをくれないか」と言うセフィロスに、クラウドがこう言うのです。
「哀れだな。あんたは何もわかってない。大切じゃないものなんてない!」
こちらからは以上です