私はイタリア人という人たちが大好きだが、当然、ときには嫌な思いをさせられることもある。そういうときには、私の頭の中のイマジナリイタリア人をおちょくることで自分の心を落ち着かせることとしている。
しかし、最近、私はどうにも人が良すぎて*1、イマジナリイタリア人をおちょくる方法にバリエーションがないことに気づいた。これでは困る。
そこで、イタリア人を怒らせる方法を検討したいと思い立った。やるからには、真剣に検討したい。
イタリア人をおちょくるには、やはり食べ物だろう。となると、ソウルフードのピザやらパスタやらをアレンジするのが手っ取り早い。
となると、やはり、パイナップルピザであろう。トマトソースたっぷりのピザの上に、パイナップルを載せるのは、ザ★邪道であろう。これを邪道じゃないと思う人などいるのだろうか。
パイナップルにトマトソースをかけて食べる人がいないように、トマトソースにパイナップルをトッピングする人など、いない。
いないのである。
邪道な食べ物と言えば、ナポリタンもそうだ。スパゲッティをケチャップで味付けをするということが、いかに愚かなことか、イタリア人は知っている。
そもそも、イタリア人は、ケチャップを子どもの食べ物だと思っている。大人の食べ物の味付けに、ケチャップを使おうと考える人など、いない。
いないのである。
そうだ、朝ご飯にサルシッチャを食べてやる、というのはどうだろうか。朝ご飯は、甘いものと決めてかかっているイタリア人の裏をかける。しかも、サルシッチャである。想像だにしないだろう。
生ハムを朝から頬張ってやるというのもいいかもしれない。サルシッチャにしろ、生ハムにしろ、朝から食べる人などいないのである。しかも、生ハムをパンに挟まないで食べてやるというのはどうだろうか。そんなもったいない食べ方をするな、と、イタリア人だったらきっと顔を真赤にして怒るだろう。
いいじゃないか。
ついでに、カプチーノを午後に飲む、というのもやってやろう。イタリア人は、カプチーノは朝飲むものだと思っているが、午後にたっぷり飲んでやろう。なんならカプチーノを、腰に手をあててエスプレッソ並みに一気飲みしてやってもいい。午後、眼の前で、カプチーノを飲む仁王立ちの私を見て、イタリア人はきっと卒倒するだろう。
どうだ。
私の頭の中の、イマジナリーイタリア人を怒らせる準備はこれで万端だ。
しかし、だ。
しかし、食べ物ばかりで何か足りない。そんな気がする。もっとイタリア人の心に、魂に、ソウルに、いや、アニマに響くような、嫌がらせを。
そんな嫌がらせの、そんなアニマに響く一言を見つけたい。
...
......
.......
「最近、仕事熱心だね」
これだ...!
これが、至理名言の、アニマに響く嫌がらせの一言である。
今日はぐっすり寝られそうだ。
*1:こんなにいろいろおちょくる方法を考えている時点で、私の人が良いなんてこと、あり得ないんですけどね。