春といえば何を思いつくでしょうか?
桜?環境の変化?新しい出会い?
違います、春といえば酒です
送別会に歓迎会、はたまた新歓飲みから花見の酒盛りまで、春は酒を飲み、酒に飲まれ、酒に溺れる季節です
かの清少納言も枕草子でこのように言っていました
春はさかもり。やうやう白くなりゆく視界はすこしあかりて、むらさきだちたる顔のほそくたなびきたる
現代語に訳すと、
春といえば酒盛り。だんだんと白くなる視界も趣があるし、吐き気で紫に変わる顔色もまた良い
といったとこでしょう
つまり、日本では古くから春は酒の季節と捉えられてきたのです
ところで、イタリアの酒文化はどうなのでしょうか。彼らが朝からお昼からワインを嗜むことはよく知られていますね。そのことからもよく分かるように、彼らは宴会(パーリー)が大好きです。そして当然、彼らはパーリー(イタリア語ではフェスタ)に対する矜持、さらに酒に対する一家言を持っています
イタリアという国は、酒で出来ているといっても過言ではありません。いえ、もはや酒でできているのです。今回は、そんなイタリアで培われた独自の酒文化を、私の独断と偏見たっぷりで紹介していきます
0次会:アペリティーボ文化
イタリアにおける0次会は、Aperitivo(アペリティーボ)と呼ばれるものです。
18時-20時頃にバールで酒を頼むと、Stuzzichini(ストゥッツィキーニ)もしくはCicchetti(チッケッティ)*1と呼ばれる軽食*2が付いてきます。これをつまみながら酒を楽しむ文化がアペリティーボです
アペリティーボはこれからの闘いに備え胃の準備運動を行う場なので、Spumante(スプマンテ、スパークリングワイン)やSpritz(スプリッツ、カクテルの一種で甘かったり苦かったり色々な種類がある)、Hugo(ウーゴ/フーゴ、カクテルの一種でエルダーフラワーを使ったもの)等が食前酒として好んで飲まれます
ちなみにこのアペリティーボ、地域によって軽食や飲む酒の種類が結構異なります。以前、私がシチリア島で友人にアペリティーボに誘われたとき、彼らは1Lのジョッキに注がれたビールを食前酒として飲んでいました。もはやそれは食前酒ではないというご批判ご高説は、ありがたくわたくしめがお預かりいたしますので、そのお怒りはお収めください
1次会:広場で飲む文化
アペリティーボが終わった20時以降、Piazza(ピアッツァ)もしくはCampo(カンポ)と呼ばれる広場に続々と人が集まり、本格的な飲み会が始まります。広場の周りにあるバールで酒を買ってもよし、持参してもよしで、各々好き勝手に飲み始めます
基本は立ち飲みスタイルで、ワインのほかに、モレッティ(イタリアの有名なビール醸造会社)や、ハイネケンなどのビールもよく飲まれます
その他、食後酒としてAmaro(アマーロ)と呼ばれる種類の酒も人気です。薬草のような苦みのあるお酒ですが、脂っこいものを食べた後や食べすぎた後には最適です
ちなみに私はアマーロの一種であるMontenegro(モンテネグロ)というお酒が大好きです
グラス片手に仲間内だけでお喋りすることもあれば、知らない人どうし仲良くなって飲むこともあります
私は知らない人と飲みながらひたすらケンケンパをしていました
2次会:生きるか死ぬかの文化
お酒を飲むならくたばるまでか、そうでなければ1、2杯でさっさと帰る
これがイタリアにおける宴会の美学です*3
というわけで、ある程度飲んだ後はショットの一気飲み合戦(イタリア語ではbere d'un fiato=一息で飲む)が開催されます。この時飲まれるのは、グレイグースやスカイといったウォッカが多かった気がします
だいたいどのバールで頼んでも1ユーロで、特にスカイはピーチ味やイチゴ味、ミント味などいろいろな味があって美味しいです。美味しくて安いがゆえ、ガンガン飲めるのですが、アルコール度数は40%超え。正に生死をかけた飲み比べです*4
ある友人は、
Il motto è vincere o morire! (イル モットー エ ヴィンチェレ オ モリーレ)
「勝って生き延びるか、負けて死ぬかだ!」と叫びながらショットグラスをあおっていました
要するに、2次会以降は宴会ではなく戦場だということです。そして、言い換えると、そんなのに付き合ってた私はドがつくほどの阿呆だったということです
宴のあと:割り勘はしない文化
イタリア語で割り勘は以下の様に表現します
fare(pagare) alla romana:ファーレ(パガーレ) アッラ ロマーナ
ただ、イタリアにおいて割り勘はあまり好まれません。バールでは都度注文ごとに会計するので、そもそも割り勘に慣れていないということもありますが、「割り勘はずるい」という考えが根底にあるようです
なので、彼らは各々が飲み食いした分だけを各自でしっかり支払います。どれだけ酔っぱらっていてもしっかりとその分だけ支払います
反省会(まとめ)
いかがでしたでしょうか。国が違えば宴会の文化も異なってきますが、どの国でも不変的な教えがあります
それは、
「酒は飲んでも飲まれるな」
です
人によって好きな酒も得意な酒も異なり、飲める量も違ってくるので、用法容量をしっかり守りましょう。
それでは、この後飲み会なのでこの辺りで失礼しますね!