むかーしむかし、とおいとおい島国のイタリイという国に、ジョバンニという若いおとこがおったそうな。背たけはそこまで高くなかったのだが、立派なヒゲをたくわえたがたいのよいおとこだったそうな。村でも彼のことを好きな人が多いとか多くないとかいわれて騒がれておったのじゃ。
そんな彼にはマルコという背たけの高い、ブルーアイヅの友人がおった。マルコは当然村でも大の人気者じゃった。ジョバンニとマルコはお互いにとても仲がよく、よく一緒にピザを食べたり、タバッコを吸ったりしておったのじゃ。
そんなある日、二人は一緒にデスコに行くことになったのじゃ。デスコをしっておるか。イルメネーションやメージックが混じり合い弾け合うたいそう暗い部屋で、おとことおんなが互いに手をとり、腰を振り合いながら踊り合う、それはそれはふしだらでみだらなところじゃ。そこに二人で出向くことになったんじゃな。
ジョバンニには、村でも一番可愛いとか可愛くないとかいわれておったアンナという恋人がおった。アンナはジョバンニがデスコに行くことをたいそう心配しておったが、ジョバンニはこういったのじゃ。
「アモーレ、君が世界でいちばん美しい。僕は君以外のだれともいたくないよ。決して君以外の女性と踊ったりなどしない」
このことばに安心したアンナはジョバンニがデスコに行くことを許可したのじゃ。
さて、デスコについたジョバンニとマルコは、さっそく飲めや踊れやの大騒ぎを始めた。そこへやってきたのは一人の美しいおんな。このおんなはマルコを誘い、二人は一緒に踊り始めたのじゃ。ジョバンニはそのおんなの美しさに見惚れてしまい、そのおんなとベッドにいきt一戦を交えたいと思っておった。しかしマルコは結局最後までそのおんなと踊りつづけてしまった。
そしてハレンチでハイカラな一夜が終わり、二人は歩いて家までかえることになった。どうしてもベッドにいきたかっt一戦を交えたいと思っておったジョバンニは恨み節のようにマルコにこう言った。
「マルコ、あの美しい女と踊るなんて、最低だ。僕は君を見損なったよ」
しかし、この一言に納得のいかないマルコはこう言い返したのじゃ。
「なんでだい。君には関係ないではないか。それに、僕が誘ったんじゃない、向こうが誘ってきたのだよ」
するとジョバンニは
「僕が美しいと思った女性なのだ。君はその誘いを断るべきだったのだよ」
というではないか。マルコはわからないなという顔でこうたずねた。
「僕はフリイ、君は彼女持ちだ。君はそのようなふしだらなことを言うべきではないよ、僕は踊っただけだし、なんの問題もない」
するとジョバンニは言うのじゃ。
「僕が美しいと思ってベツドに行きたいと一戦を交えたいとおもった女性なんだ。君は彼女と踊るべきじゃなかったんだ。僕は本当に傷ついたよ」
さすがにジョバンニの悲しみに気づいたのか、マルコは
「そうか、それは申し訳ないことをした。君が彼女とベッドでふしだらな踊りをできるようにアシストをしなければならなかったね」
と言ったのじゃ。これをうけたジョバンニは
「気にするなよ、アミイコ。誰にでもミスはあるさ。大事なのは、そのミスを認め謝ることさ!」
と言い、マルコの肩をポンポンとたたいた。
「ジョバンニ、お詫びに一杯おごるよ、そこのバールに入ろうじゃないか」
こうして二人は夜もふけた町にまた繰り出していくのじゃった。
遠い異国のイタリイのおとこたちは、浮気もので有名じゃ。
実話じゃ。
めでたし、めでたしだの。