あくまでも個人の見解という前おきをした上で、タイトルについての話をしたいと思います
私が思うに、イタリアでは、著作権という概念がかなりゆるいです
それは、著作権が存在しないとか、その概念が存在しないとか、そういうことではなく、著作権ありのモノを享受する側の意識の問題です
最初に述べましたように、あくまでも個人的な見解であり、人によって全く違った意識・立ち位置であることは重々承知していますが、それでも「全体的に」著作権を侵害しているという意識がゆるいと思っています
その理由は以下のとおりです
映画はネットで拾う
イタリア人は映画を見るのが大好きです。私は留学中に相応の友人がいましたが、彼らは、夜になると映画を見たがります。何もすることがなくなっても映画鑑賞という選択をします
そして、それを反映してなのか、そもそもそこからイタリア人の映画好きが始まったのかわかりませんが、夜になると、どのテレビチャンネルも映画を放送していました(少なくとも、体感的には多かった気がします)
夜になったら映画を観る、することがなかったら映画を観る、これがイタリア人のスタイルなのです。実際に、私の友人には、映画の知識が豊富な方が多かったです
しかし、重要なのは、映画の観方です
どうも、彼らには、映画をレンタルするとかテレビで観るとかという概念があまりないらしく(まあ多分思いついたその場で観たい映画を観るというスタイル)、インターネットで違法なものを探してきます。しかも、匠に探し出してきます。熟練の技術です。現代版海賊です
で、まあこれくらいなら、もしかしたらどの国でもやってるのかもしれません。ただ、調べてみると、あくまでも体感ではありますが、イタリア語の違法サイトが多い気がします。政府は取り締まりを強化しているみたいですが、それでもいたちごっこという感がぬぐえません
学習参考書を一括ダウンロードする
私は仕事柄、何か良い学習参考書はないか、と聞かれることがあります。そういうときは、私としても力になりたいですから、よし任せろ、と意気込んで、自分の手元にある参考書などを見ながら、ピッタリのものを探します(探す努力はします、ええ)
しかし、そうはいっても、世の中にはごまんと参考書がありますから、なかなかピッタリのものは見つけられません。そもそも、勉強したい人が自分で中身を少し見たりして決めるのが一番だと思うので、私が他人のために参考書を探すのは限界もあります
ですから、意気込んで探すものの、なかなか骨の折れる作業でもあります
しかし、ややもすると、こんな悩みは吹っ飛びます。
なぜなら、イタリア人は、どこから見つけてきたのか知りませんが、大量の学習参考書をスキャンしたpdfをインターネット上から見つけ出すのです
そして私に言います
この参考書が良さそう。どうかな?
彼らはインターネットパイレーツです。間違いありません
大学本部の前にコピー屋さんがある
そして、私が最も驚いたのが、この3つ目の事実です
イタリアの大学には、ほぼといっていいほど、授業で使う教科書類をコピーして簡易製本して売るコピー屋があります。場合によっては、大学本部の目の前にどんと居を構えている場合もあります
何を言っているのかわからない方もいるかも知れませんので、もう一度わかりやすく言うと、
大学指定の教科書を取り揃えていて、それをコピーして学生に売るという商売をしているコピー屋がある(しかも製本してくれる)
ということです
大学教科書専門の本屋もありますが、そこで本を買おうとして、
コピー屋のほうが安いんじゃない?そっちで買ったらどう?
と言われたこともありました
なぜ彼らはそんなことをするのか。理由は簡単、安いからです
さすがは現代のパイレーツです
というわけで、さすがの私も大学前のコピー屋の存在は気になって、「どうしてそんなものが許されるのか」という疑問をイタリア人にぶつけたことがあります
すると、こんな答えが帰ってきました。
それは、segreto di pulcinellaなんだよ。
segreto di pulcinella
セグレート ディ プルチネッラ
公然の秘密
pulcinella(プルチネッラ)とは、コンメディア・デッラルテ(commedia dell'arte)と呼ばれる伝統的な風刺劇に登場する、いわばピエロみたいなやつのことを指します。そして「プルチネッラの秘密」で「公然の秘密」という意味になります。
Segreto di Pulcinella - Wikipedia
どうしてそのような言い回しができたのかについては、詳細がwikiperidaにも書いてありますので、そちらを参考にしてください。
まあ、要するに、プルチネッラみたいなおちゃらけキャラが秘密を知ると、そいつは「誰にも言わない」と約束しながら、色んな人に言ってしまい、そしてみんなが秘密を知っていながら知らないふりをする、という状況が生まれる、ということみたいです
ということで、そんなこんなでイタリア人には著作権を守ろうという概念が薄いです。
その理由は簡単です。イタリア人が私に答えてくれたように、著作権の侵害は、公然の秘密だからです
答えにはなってませんがね